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スマートフォンと子どもの目

スマートフォンと子どもの目

■スマートフォンと子どもの目

スマートフォン(以下スマホ)やタブレット端末などのいわゆるICT(Information and Communication Technology:情報処理・情報通信)に関わるデジタル端末は、平成から令和の時代にかけて急速に普及し、生活に欠かせないものとなりました。 電車に乗ればスマホで小説や漫画を読み、レストランや美容室の予約はスマホのアプリでOK。スマホをコンビニのレジでかざせば電子決済、そして幼児にスマホを与えておけば子守にもなる「スマホ育児」…。
さて、ご存知でしょうか。2019年、WHO(世界保健機関)から小児の健康な成長に関するガイドラインが発表されました。そのなかで「1歳未満ではスクリーンタイムは推奨されない。1~4歳でのスクリーンタイムは、1日1時間未満。」と提言されています。このスクリーンタイムとは、テレビ・ビデオ・ゲーム機器を見続けることを意味します。
つまり、目の発達の重要なこの時期、これらのデジタル機器に乳幼児が触れて見続けることは、健康に影響を及ぼす恐れがあると、WHOは警告したのです。

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子どもがインターネットに触れる現状は?

ほぼ時を同じくして、内閣府は「平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査」の結果を公表しました。そこから見えてくるのは、デジタル端末に触れる時間が年を追うごとに長くなっているという事実です。スマホやタブレット端末などデジタル端末を使用したインターネットの平均利用時間は平日1日あたり、小学生で前年度と比べて約21分増えて約118分、中学生では約164分、高校生ともなると約217分!
そして0歳から9歳までの低年齢層でのインターネット利用時間は、平成29年度が平日1日平均約61分であったのに対し、平成30年度は88分にまで長くなっていました。日本では2018年の時点でWHOの提言を超えてしまっており、幼い頃から長時間利用する傾向に陥っています。

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スマホを見続けていると何が起きる?

①近視化

子どもの近視でも触れたように、近視化の環境因子としてスマホなどの使用が疑われています。スマホではありませんが、オーストラリアの研究では、近視になりうる環境因子として、30cm未満の距離で読書をする、30分以上継続して読書をする、屋外活動が短い、という結果が判明しました。スマホは目から20cm未満での使用も多く、ましてや子供の手は短いため、目とスマホの距離は常に短くなる傾向にあると言えるでしょう。

②調節障害

目は近くの物を見ようとする時に目を内側によせ、ピントをあわせ(調節)、瞳が小さくなります。この3つの作用が正常に働いて近くのものがよく見えるようになります。しかし、スマホを長時間同じ距離で見続け、また目をあまり動かさない状態が続くと、目を内側によせる筋、ピントを合わせる筋、瞳を動かす筋が常に緊張状態となるため、そのうちに3つのバランスが崩れ、調節不全などの症状を起こし、目が疲れてぼやけて見えることが起きてくる可能性があります。いわゆる「スマホ疲れ」「スマホ老眼」と言われるものです。

③後天性内斜視

スマホをはじめとするデジタル端末を長時間にわたって使用した若年者10代~20代に後天性内斜視が発症した、とする報告が近年多くみられるようになりました。スマホの使用にどっぷり浸かった若年者が急に内斜視となり、多くの眼科医のもとを訪れていることも、眼科医に対するアンケート調査で明らかになっています。しかし、どのくらいの時間スマホを操作すれば起こるのか、スマホと目の距離はどのくらいなのか、スマホ使用歴はどのくらいか、など後天性内斜視を誘発する環境の条件を詳しく調べる必要があります。いずれにしても、スマホを長時間、6時間も8時間も見続けることは発症のリスクとなりえます。

④ドライアイ

スマホやタブレット端末などデジタル端末を長時間見ていると、まばたきの回数が少なくなり、目の表面を涙が十分に覆わなくなります。こうして目が乾燥しやすくなることが報告されています。ドライアイでは、乾燥感に加えて、異物感、充血、見えにくさ、目の疲れなどが症状としてみられます。

⑤睡眠障害

眠る前にスマホなどを見て、強い光を浴びると、入眠作用のあるホルモン「メラトニン」の分泌が少なくなるとされ、睡眠障害を引き起こす可能性があります。また液晶画面からはブルーライトがでていることから、入眠に影響を及ぼすとされています。睡眠時間の短縮によって、昼間に集中力が低下し、学習障害を引き起こすこともありえます。なおブルーライトの眼障害について、米国眼科学会議は、「ブルーライトは網膜への障害は起こさない」との見解を出しています。

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スマホによる眼障害への対策は?

少なくとも「0歳から4歳までの乳幼児にスマホ画面を見せることは勧められない」ことは、WHOの提言からも明らかです。保護者が乳幼児にスマホを与える「スマホ育児」は決してよい結果を生まないことを示唆しています。目の健康を考えると、子どもの場合、遊びでスマートフォンなどの画面を見る時間は、平日1日30分未満が望ましいとされています。また目と画面との間は少なくとも30㎝の距離を置くべきでしょう。今後、学校でも2020年度からの新教育要領にのっとり、デジタル教科書を用いた授業も本格化していきます。授業では、背筋を伸ばし、デジタル教科書の画面と目線が直交する角度にすると理想的とされています。

子どもがスマホを使用できる環境で大切なこと

  • ◎0~4歳まではスマホを可能な限り触らせない、見せない。
  • ◎目と画面は30㎝の距離を置く。
  • ◎30 分連続でスマホを見れば5~10 分休憩する。
  • ◎休憩時には5~6m 先の遠方を見る。
  • ◎長時間連続してスマホを使わない。
  • ◎就寝前にスマホは見ない。

子どもがスマホを持つことは、決して悪い面ばかりではありません。使用時間や方法、利用できるアプリを厳格に制限し、課金行為をNGとするなど、学校関係者と保護者の方々が使用に関する理解と啓発活動に積極的であれば、学校への行き帰りの安全配慮や、大規模災害時の安否確認などでスマホは有用と思われます。

目の健康はもちろん、心身の発達にとって大事な子どもの時期は、スマホに依存することのないように、身近な保護者の方々による観察と指導、配慮が必要でしょう。

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