小児ぶどう膜炎

小児ぶどう膜炎

小児ぶどう膜炎 Q&A

※質問をクリックすると各答えに移動します。

小児ぶどう膜炎とはどんな病気?

小児のぶどう膜炎は、小児に起きる目の内部の炎症により視力低下や、合併症として白内障や緑内障などを引き起こす病気です。特徴として

  • ①低年齢から発症すると、片方の目が見えていると視力低下を自分から訴えない。
  • ②痛みや充血が少ない。そのために、保護者はぶどう膜炎の発症に気づかない。
  • ③3歳児健診や学校検診をきっかけに見つかることがよく経験されます。
  • ④結膜炎と診断され、後日にぶどう膜炎の存在が明らかになることがあります。
メヤニやかゆみのないやや充血があれば、細隙灯顕微鏡でしっかり診てもらいましょう。

▲ ページ上部へ戻る ▲

小児ぶどう膜炎の特徴は?

成人もあわせて、日本においてぶどう膜炎をわずらう方は白内障や緑内障に比べてはるかに少なく、さらにぶどう膜炎全体の中でも、小児ぶどう膜炎の割合は5~8%とされています。また、小児のぶどう膜炎では、局所治療に抵抗し経過が長く、その1/3は重い視機能障害を残す可能性があります。

▲ ページ上部へ戻る ▲

小児ぶどう膜炎にはどのような病気があるのでしょう

1)若年性特発性関節炎(juvenaile idiopathic arthritis : JIA)
主に虹彩に炎症を起こすぶどう膜炎を発症し、小児ぶどう膜炎では最も頻度が高いとされています。この病気には、全身型・多関節型・少関節型の3つがあり、少関節型の約10~20%にぶどう膜炎が発症するとされています。女児に多く慢性の虹彩毛様体炎に加えて、帯状の角膜変性を生じることもあります。ステロイドの点眼を継続し、関節炎等に対する全身治療については、ステロイド薬内服や、生物学的製剤に代表される免疫抑制薬を使用し、これらの治療が、目の治療にも効果があることがわかってきました。

2)トキソプラズマ症
感染性ぶどう膜炎の一種。トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)という寄生虫(原虫)が目に感染することによって起こります。その多くは、眼底の黄斑部やその近くに病巣を作るため、片方の目の視力障害が生じます。外斜視や弱視の原因ともなるため、黄斑部を詳しく観察する眼底検査が必要です。治療は駆虫薬とステロイド薬の内服ですが、小児の場合、ステロイド薬の投与量に依存して成長障害が起こりえますので、治療については主治医とよくご相談ください。

3)間質性腎炎ぶどう膜炎症候群
小学校高学年以上から発症する例が比較的多くみられます。全身倦怠感や体重減少からはじまり、かすみ目や充血、飛蚊症などを自覚します。ぶどう膜と、腎臓の間質と呼ばれる組織で炎症を起こしますが、普通の尿検査では確認は困難です。尿中β2マイクログロブリン値の上昇が特徴で、目には虹彩炎、眼底には血管炎と硝子体混濁を起こします。ぶどう膜炎の治療は、ステロイド薬点眼が基本ですが、その多くが長期化する傾向にあります。

4)上記の疾患以外にも、Vogt-小柳-原田病、ベーチェット病、若年性サルコイドーシス、Blau症候群などがあります。

▲ ページ上部へ戻る ▲

小児ぶどう膜炎の治療にあたって

コンプライアンスの維持、すなわち保護者の監督下でしっかりと点眼を決められたとおりに継続することが大切です。また、長期間にわたって点眼治療が必要となることが多く、活動期には、強いステロイド薬点眼の回数を炎症の程度により1~4回/日と調整、寛解期には、弱めのステロイド点眼薬や非ステロイド系抗炎症点眼薬を用いて炎症をコントロールします。
長期間のステロイド薬点眼や内服などによって、またぶどう膜炎による合併症として白内障を起こしてくることがあります。視力を改善させるため、白内障手術をやむをえず行うことがありますが、すべての例で良い結果が得られるとは限りません。さらに炎症が強くなることもあるため、白内障手術に関しては眼科主治医や小児科主治医とよくご相談ください。

参考資料:

丸山耕一

急性間質性腎炎ぶどう膜炎症候群 新図説臨床眼科講座 感染症とぶどう膜炎7 p219-222メジカルビュー社 1999

丸山耕一

小児のぶどう膜炎 アレルギーの臨床 34(12)p1143-1146 2014

▲ ページ上部へ戻る ▲